アイロンの適切な温度は何度？｜温度調節の使い方やマークの説明も

アイロンがけの適切な温度は知っているようで意外と知らない方が多いです。「短時間で一気に片付けたいから」と高温に設定や、「ほどほどの温度なら無難だろう」と中温に設定する方、「弱ければ何も問題ないはず」と低温に設定する方など、アイロンの温度をなんとなくで決める方もいますよね。

しかし、アイロンがけの適切な温度を知ると、大切なお洋服へのダメージを抑え、長持ちさせられます。さらに、アイロンがけの手間が減り結果的に時短になるケースや、ワイシャツなど衣類のシワが伸びやすくなる嬉しい効果もあるのです。

今回は衣類ごとの最適なアイロンの温度設定を確認する方法や、それぞれの温度設定でのアイロンがけのコツを解説します。知って得する・知らなきゃ損する情報が満載なので、ぜひ最後までご覧ください。

アイロンの温度設定は、主に「低」「中」「高」の3つあります。それぞれの温度設定は、メーカーによって多少ばらつきはありますが、多くの場合は次の温度になります。

• 低温：80〜110℃ (スチーム使用不可)
• 中温：140〜150℃
• 高温：180〜200℃

また、衣類タグに記載されているアイロン表示は、アイロンがけができる温度の限界を表しています。アイロン表示以上の温度設定でアイロンをかけると生地が傷んでしまう恐れがあるので、高すぎる温度でのアイロンがけは控えましょう。

アイロンを温めはじめると「低温→中温→高温」の順番に温度が上がっていきます。そのため、アイロンをかけるときはあらかじめ衣類を温度別に分類しておき、低温設定が最適な衣類からアイロンをかけ始めると効率的です。

アイロン表示が旧表示の場合、アイロンマークの中に記載されている「高」「中」「低」が、アイロンをかけるときの温度設定を示しています。

また、新表示の場合アイロンマークの中に記載されている「・」の数で、アイロンをかけるときの温度設定を見分けます。「・」が1つなら低温、「・・」と2つなら中温、「・・・」と3つなら高温が最適な温度設定です。

アイロン表示は「これ以上の温度でアイロンをかけると衣類が痛む恐れがある」と、温度の限界を表しています。アイロン表示以上の温度設定でアイロンがけをするのは厳禁です。

旧表示の場合、アイロンマークの下に波線が記載されているものは、アイロンがけをするときに当て布が必要です。新表示の場合は、アイロンマークの下に「当て布使用」などの文字表示が記載されています。

この表示がある衣類は、直接アイロンがけをするのは避けましょう。アイロンと衣服の間に当て布をはさみ、アイロンのかけ面が直接触れないようにアイロンをかけてください。

アイロン表示にバツ印がついている場合は、アイロンに対応していないです。どうしても気になるシワを取りたい場合は、アイロンの浮かしがけをするか、スチームアイロンなどからスチームを吹きかけると、繊維が伸びてシワが取れます。

アイロンの浮かしがけや、スチームアイロンの蒸気を吹きかけるときは、熱くなったかけ面が衣類に直接触れないように注意しましょう。アイロン不可な衣類は非常に繊細な素材が使われているので、かけ面が少しでも当たるだけで非常に目立つダメージにつながります。

アイロンがけする際は、衣類のシワを伸ばしながらかけましょう。新しいシワをつくらないようにアイロンをかける方向はすべて同じにして、プレスするようにアイロンを滑らせるとキレイに仕上がります。

また、アイロンについているスチーム機能を利用するのも、キレイに仕上げるコツです。アイロンをかける前にスチームの蒸気を当てると、シワが伸びやすくなります。しかし、スチームに適していない素材もあるため、事前に表示タグを確認しましょう。

基本的に衣類のタグにはアイロンの温度表示がありますが、タグがない場合もあります。タグがなく温度設定がわからない場合は、素材から適温を判断しましょう。以下の表は、素材ごとの適温を一覧表にしたものです。こちらを目安にしてください。

ここからは、温度を「低」に設定してアイロンをかけるときのポイントを解説します。

アイロンの低温設定は、レーヨン・ナイロンなどの非常に熱に弱い素材や、シルクなどの繊細な繊維をケアするときに使います。熱や水に弱い繊維なのでたとえ温度設定を「低」にしていても、アイロンが十分に温まっていると生地が傷んでしまう場合があります。

温度が高めだと感じた場合は、1度別の衣類にアイロンのかけ面を押しつけて、温度を下げてからアイロンをかけると安全です。

低温でアイロンをかけるときは絶対にスチーム機能を使わないようにしましょう。衣類に水滴が垂れて、シミになってしまう可能性があります。

低温向きの素材は非常にデリケートなので、アイロンをかけるときは当て布を使用すると生地への負担を減らせます。また、低温に設定していても、アイロンを長時間当て続けると生地が傷む場合があるので、なるべく短時間で終わらせるのがコツです。

アイロンの中温設定は、ウール・アクリルなどの熱に弱い素材をケアするときに使います。また、ウールなどは普通に洗濯すると生地が縮んでしまいますが、アイロンのスチーム機能を活用すると消臭・脱臭ケアができます。

一方、アクリル・ポリエステルなどの化学繊維にアイロンを使用するときは、基本的にスチームや霧吹きはおすすめしません。中温設定でアイロンをかける衣類には、ドライアイロンが適するものとスチームアイロンが適するものの両方があるため、スチーム機能を使う場合は事前に確認しましょう。

中温でアイロンを使用するときは、念のため当て布を使用しましょう。当て布を用いてアイロンをかけると、生地のテカりを防ぎふんわりとした仕上がりになります。また、熱に弱い素材なので、アイロンを高温設定で使用した後に中温設定に戻して使用するのは避けましょう。

アイロンの高温設定は、熱や水に強い綿・麻素材に使います。スチームや霧吹きを併用すると、頑固なシワも一気に伸ばせます。高温設定が適する素材にアイロンを使用するときは、基本的に当て布は不要です。

しかし例外として、Tシャツなどにアイロンをかけるときは、プリント部分を直接アイロンのかけ面で触れないようにしてください。プリントが溶けてアイロンに付着する恐れがあるので、その部分だけは当て布を用いながらアイロンをかけましょう。

高温でのアイロンがけが可能な衣類については、高温設定を使いましょう。スチームや霧吹きで繊維をほぐし熱と圧力でシワを伸ばすと、短時間でアイロンがけが終わります。

また、アイロン台から取り外して使うタイプのアイロンは、連続して使用しているうちにアイロンの温度が冷えるものがあります。温度が冷えた状態でアイロンをかけ続けると、シワが伸びにくくなり非効率的です。こまめにアイロン台に接続させて、なるべくアイロンを高温の状態で使用しましょう。

新表示では「当て布」のマークがなくなったため、衣類タグによっては当て布が必要でも記載されていない場合があります。基本的に低・中温設定のときは、当て布を使ってアイロンをかけましょう。

当て布を使うと生地へのダメージが抑えられるだけでなく、テカりを防止しふんわりと仕上げます。高温設定のときも衣類のプリント部分にアイロンを使用する場合は、必ず当て布を使いましょう。

当て布に用いる布は、タオルなどの厚手の布よりは、ハンカチなどの薄手の布が適しています。また、色移りを防ぐためにも、当て布にはなるべく白地のものがおすすめです。当て布になりそうな手頃な布が見つからない場合、専用の当て布が市販されているのでぜひチェックしてください。

この記事をご覧になっている方の中には「アイロンの温度設定ってそんなに重要なの？」と疑問に思う方もいますよね。アイロンの温度設定は重要で、温度を間違えるとさまざまなトラブルの原因になります。ここではトラブルの事例をいくつかご紹介します。

衣類のシワ取りを急いでいるときに、高めの温度で一気にアイロンがけを終わらせようとした経験はありませんか？実はこの方法はあまりおすすめできません。タグには「温度設定の限界」を表すアイロン表示が記載されています。

アイロン表示以上の温度でアイロンをかけると、生地が溶けてアイロンに付着する可能性もあります。また、そのままの状態でほかの衣類にアイロンをかけると、アイロンに付着した素材が再び溶けてほかの衣類を汚し、落ちなくなる場合もあります。1度に複数の衣類が台無しになる大惨事につながる場合もあるので、衣類のアイロン表示は必ず確認しましょう。

アイロン表示以上の温度でアイロンをかけると、素材によってはあっという間に繊維が縮れたり、焦げたりします。こうなってしまうと、大切なお洋服も台無しです。

また、アイロンをかけた直後は変化がないように見えても、実は繊維が変質して脆くなっているケースもあります。知らずにそのまま着て出かけると、簡単な衝撃で衣類が突然裂けてしまうアクシデントにつながるので、温度設定は守りましょう。

コードレスタイプのアイロンを使用する場合、機種によってはアイロン台に接続しないと温度が上がらなかったり、アイロンの温度が上がる途中で充電が足りなくなったりしてしまうものがあります。この場合、アイロン台に接続してきちんと温度が上がるのを待ちましょう。

また、長年使用しているとコンセントやアイロン台の接続部分に汚れがたまる場合があります。1度コンセントの汚れを拭き取ったり、アイロン台の接続部分のホコリを除去したりしましょう。

電源を入れた状態でしばらく放置していると、内部の安全装置が作動して自動で電源がオフになる機種があります。「アイロンが十分に温まるのを待つのが暇だから、しばらく席を外していた」などの場合、安全タイマーが作動して自動で電源が切れている可能性が高いです。

この場合、再び電源を入れ直すとアイロンはきちんと温まります。アイロンが温まるのを待つときは、あまり席を長く外さないようにしましょう。

長年使用しているアイロンの場合、内部の安全装置が誤作動を起こしていたり、回路に不具合が起きていたりする可能性があります。アイロンの寿命は5～7年です。アイロンの寿命だと思われる場合は、安全のためにも使用を中止し、交換・買い替えを検討しましょう。

「面倒だから」とアイロンがけの温度を適当に設定するのは、かえってアイロンがけの手間を増やすだけでなく、さまざまな衣類トラブルの火種となって「さらなる面倒」を呼び込みます。アイロンの最適な温度を使いこなし、スマートにアイロンがけを片付けていきましょう。